2017.01.23 Monday

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    2016.03.30 Wednesday

    エピソード61/春休み最後の日

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      木綿子がリビングでTVを見ている。

       

      しかしTVに集中をしている訳ではなかった。

       

      明日から学校が始まる。

       

      クラス替えがあるので、誰と同じクラスになれるのか、なれないのか。

       

      そんな事が少し気になっていたのである。

       

      今日はアルバイトを終えて帰宅し、先程、夕食を済ませた。

       

      木綿子の母は台所で洗い物をしている。

       

      父はまだ仕事から帰って来ていない。

       

      絵美と由佳は、今日はアルバイトを休むと言っていた。

       

      でも、絵美は山ノ井君のところにでも行っているだろう。

       

      だったら、由佳にでも電話をしようかな。

       

      そう思った途端に、木綿子の携帯の着信音が鳴った。

       

      木綿子は立ち上がって、自室へ向かいながら電話に出る。

       

      木綿子「もしもし」

       

      淳「もしもし、長谷川!?」

       

      木綿子は自室に入って戸を閉めた。

       

      木綿子「うん。私だけど」

       

      淳「今、時間、あるかな!?」

       

      木綿子「大丈夫だけど。珍しいね。大竹君から電話をしてくれるなんて」

       

      淳「そう言えば、長谷川に電話をしたのは初めてだったな」

       

      木綿子「それで、何?」

       

      淳「今、出てこれる?」

       

      木綿子「大丈夫だよ」

       

      淳「今、長谷川んチのすぐ近くの公園に居るから」

       

      木綿子「そうなんだ。じゃあ、すぐに行くね」

       

      淳「待っているよ」

       

      そして淳が電話を切ってから、木綿子も電話を切った。

       

      木綿子は上着を羽織って自室を出て、リビングでTVの電源を切ってから玄関へ向かう。

       

      木綿子の母「あんた、何処へ行くの?」

       

      台所から木綿子の母が声をかけた。

       

      木綿子「ちょっと友達に呼び出されちゃって」

       

      木綿子の母「そう。余り遅くならないようにしなさいよ」

       

      木綿子「すぐに帰って来れると思うよ」

       

      そう言って、玄関で靴を履いて外へ出た。

       

      そして近くの公園に向かう。

       

      公園に着くと、淳が公園のブランコに座っているのが見えた。

       

      淳も木綿子が来た事に気付く。

       

      そして淳はブランコを降りて、木綿子に声をかける。

       

      淳「悪ぃな。急に呼び出しちゃったりして」

       

      木綿子「んーん。全然、構わないよ」

       

      木綿子はそう答えながら、隣のブランコに座る。

       

      淳も再びブランコに座った。

       

      淳「今日、何をしていたの?」

       

      木綿子「アルバイトに行っていたんだ」

       

      淳「長谷川もバイトに行っていたんだ」

       

      木綿子「由佳と絵美は休むって言っていたけど、どうせ、する事はないし」

       

      淳「俺も、さっきまでバイトをしていて、帰って来たばかりなんだ」

       

      木綿子「そうなんだ」

       

      淳「でも、今日でバイトもおしまい」

       

      木綿子「お疲れ様〜」

       

      淳「サンキュ。長谷川はまだバイトを続けるんだろ!?」

       

      木綿子「うん。学校が始まったら、日曜日だけだけどね」

       

      淳「そっか。日曜日はバイトなのかー」

       

      木綿子「どうかしたの?」

       

      淳「いや、日曜日がバイトじゃ、日曜日にデートとかって訳にはいかないのかな〜、なんて」

       

      木綿子「え!?」

       

      淳「いつまでもウジウジしていても仕方がないからね。進級したのを機に俺と付き合って欲しいんだ。友達としてじゃなくて恋人として」

       

      木綿子「本当に!?」

       

      淳「待たせちゃって、ゴメンネ」

       

      木綿子「ん〜ん。私が勝手に待っていただけだし」

       

      淳「間に合ったのかな」

       

      木綿子「うん。ギリギリね」

       

      淳「ギリギリだったのか〜」

       

      木綿子「ふふふ。それじゃ、私、アルバイトを平日に変えようかな」

       

      淳「日曜日を空けてくれるの!?」

       

      木綿子「私だって、デートはしたいもん」

       

      淳「でも、平日にバイトをすんのは大変じゃない!?」

       

      木綿子「そうだけどね〜。夏休みが終るまでは続けたいから」

       

      淳「何で?」

       

      木綿子「だって、夏休みが終ったら、アルバイトどころじゃなくなるじゃん」

       

      淳「なるほど。そうだよな〜」

       

      木綿子「私は進学するかどうかは分かんないけど、どうするか決まるまでは一応、受験勉強もしておかないと」

       

      淳「長谷川は進学を迷っているんだ!?」

       

      木綿子「ウチ、貧乏だからさ。お姉ちゃんも短大だったから、私も行けて短大かな」

       

      淳「長谷川自身は大学へ行きたいの!?」

       

      木綿子「それもまだ、よく分かんないんだ。大学へ行けば、また最低4年は勉強をしなきゃならない訳でしょ」

       

      淳「そうだな」

       

      木綿子「でも、大学へ行っている間は就職をしなくてもいいと思うと、行ってみたい気もするし」

       

      淳「そっか。俺はまだ、どんな仕事がしたいとか分からないから、取り敢えず、大学に行ってからって感じかな」

       

      木綿子「そういう人は多いんじゃないかな」

       

      淳「って、そんな話はまだ早いよな」

       

      木綿子「そうだね」

       

      淳「そろそろ帰るわ。俺、腹が減っちゃって」

       

      木綿子「まだ夕飯を食べていないの!?」

       

      淳「だから、さっきまでバイトをしていたって言ったじゃん」

       

      木綿子「そのまま来たんだ」

       

      淳「明日から学校が始まるな」

       

      木綿子「そうだね。一緒のクラスになれるかな?」

       

      淳「いや、一緒じゃない方がいいべ!?」

       

      木綿子「そうかな!?」

       

      淳「クラスメイトにバレたら、色々と大変そうじゃない!?」

       

      木綿子「それも、そうかもしれないわ」

       

      淳「それじゃ、また明日、学校でね」

       

      木綿子「うん。またね」

       

      淳が自宅へと帰って行く。

       

      木綿子は淳を見送ってから、自宅へと足を向ける。

       

      季節が春になり、ようやく木綿子と淳にも春が訪れた様だった。