2017.01.23 Monday

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    2016.03.08 Tuesday

    エピソード39/微妙な元サヤ

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      隆行が放課後、香織の教室へやって来た。

       

      隆行「香織、ちょっといい!?」

       

      香織「うん」

       

      二人は教室を出て、廊下に出る。

       

      他の生徒達は次々と自宅へと帰っていく。

       

      隆行「時間、大丈夫!?」

       

      香織「うん。みんなはもう帰っちゃったし」

       

      隆行「そっか。それじゃ、一緒に帰ろう」

       

      香織「うん。それで、どうだったの?」

       

      二人は歩き始めた。

       

      隆行「やったよ。ギリギリだったけど」

       

      香織「何番だったの?」

       

      隆行「9番。そうだ」

       

      隆行が急に足を止めた。

       

      香織「どうしたの?」

       

      香織も足を止めて、隆行に向き直った。

       

      隆行「だから、もう一度、俺と付き合って欲しいんだ」

       

      香織「うん。分かっているって」

       

      再び二人は歩き始める。

       

      隆行「それじゃあさ、これから一緒に駅前まで出ない?」

       

      香織「これからって、このまま!?」

       

      隆行「いや、一度、家に帰って私服に着替えてから」

       

      香織「いいよ」

       

      隆行「それで夕飯をご馳走させて」

       

      香織「え!?いいの?」

       

      隆行「うん。待たせてしまったお詫び」

       

      香織「じゃあ、ご馳走になろ」

       

      隆行「俊君に美味しいイタリアンのレストランを教えて貰ったんだ」

       

      香織「そうなんだ。私、イタリアンは好きかも」

       

      隆行「じゃあ、良かった」

       

      香織「ちゃんとしたイタリアンなんて、多分、食べた事はないんだけどね」

       

      隆行「俺だって、そうだよ」

       

      香織「でも、パスタとかは大好きだからさ」

       

      隆行「美味しいよね。パスタって」

       

      香織「楽しみだな〜」

       

      二人は下駄箱まで着いた。

       

      それぞれ自分の靴のところまで行って、自分の靴を履く。

       

      そして再び、二人は歩きながら話を続ける。

       

      香織「ねぇ」

       

      隆行「何?」

       

      香織「私達って、元サヤになるのかな!?」

       

      隆行「そうだね。でも、ちょっと微妙かも」

       

      香織「何で?」

       

      隆行「俺達、友達になってから、他に恋人が出来た訳じゃないじゃん」

       

      香織「なるほどね」

       

      隆行「それとも、いたの?」

       

      香織「いる訳ないじゃん」

       

      隆行「そうだよね」

       

      香織「いたら、隆行ともう一度、付き合ったりしないわよ」

       

      隆行「ははは。それ、俺、冗談に受け取れねーよ」

       

      香織「あはは。だって、まだ、そんなに時間は経っていないじゃん」

       

      隆行「そうだね」

       

      香織「もし、新しい彼氏が出来ていたとしたら、隆行と比較するまでは、もう少し時間が必要だと思うんだ」

       

      隆行「比較されちゃうんだ」

       

      香織「もしもの話じゃん」

       

      隆行「そうなんだけどさ」

       

      香織「比較されるのは嫌?」

       

      隆行「う〜ん。分かんない」

       

      香織「でも、みんな、そうなんじゃないかな〜」

       

      隆行「みんなって!?」

       

      香織「だから、元サヤになる様な人達って」

       

      隆行「そっか〜」

       

      香織「新しい彼氏や彼女と付き合ってみて、逆に元彼や元カノのいいところに気付いちゃったり」

       

      隆行「そうかもしれないね」

       

      香織「私だって、一度は隆行の事を意気地なしって思って、別れる事にしたけど」

       

      隆行「ははは。やっぱり俺って、意気地がないんだな」

       

      香織「前はそうだったと思うよ」

       

      隆行「今は?」

       

      香織「今は少しだけ、マシになったかな」

       

      隆行「少しだけ、か」

       

      香織「だって、この間、キスをしてくれたじゃん」

       

      隆行「今、それを言われると、すげー恥かしいんだけど」

       

      隆行が照れる。

       

      香織「私、ちょっと、びっくりしちゃった」

       

      隆行「そうなんだ。だったら、俺、少しは変われたのかな」

       

      香織「少しだけね」

       

      隆行「みんな、俊君のおかげだな〜」

       

      香織「ねぇ。俊君って、どんな人なの?」

       

      隆行「すごく気さくで、いい人だよ」

       

      香織「そうなんだ。私はちょっと、馴れ馴れしいなんて思っちゃったけど」

       

      隆行「あはは。その辺って、紙一重なのかもしれないよね」

       

      香織「だって、会うなりいきなり、私の事をちゃん付けで呼ぶんだもん」

       

      隆行「俺が俊君に色々と香織の話をしていたからさ」

       

      香織「どんな話をしていたの?」

       

      隆行「え!?それを訊いちゃうわけ?」

       

      香織「うん」

       

      隆行「だから、香織の家に行った時の話とか、香織に友達になろうって言われた話だとか」

       

      香織「そっか」

       

      隆行「それで、ずっと俺の事を励ましてくれてさ」

       

      香織「へぇ〜」

       

      隆行「俺、俊君がいなかったら、こんなに頑張れなかったと思うし、変わる事も出来なかったんじゃないかって」

       

      香織「隆行のお姉さんと付き合っているんでしょ!?」

       

      隆行「うん」

       

      香織「ちょっと変わってない!?」

       

      隆行「何で?」

       

      香織「だって、隆行とも友達みたいな感じだったじゃん」

       

      隆行「あはは。本当におかしいのかもしれないけどさ」

       

      香織「うん」

       

      隆行「俊君、父さんや母さんとも仲が良くてさ」

       

      香織「そうなの!?」

       

      隆行「だから、もう、ウチの家族みたいになっちゃっている感じなんだ」

       

      香織「それも、すごいね」

       

      隆行「俺からしたら、兄貴が出来たみたいな感じでさ」

       

      香織「いいな〜」

       

      隆行「でも、実の兄貴じゃないんだよね」

       

      香織「どういう事!?」

       

      隆行「だから、実の兄貴だと話せない様な事も話せるんだよね」

       

      香織「そういうもんなの!?」

       

      隆行「男兄弟って、仲が余り良くなかったりするし」

       

      香織「ふ〜ん」

       

      隆行「例え、仲が良くても家族には恋愛の話とかって、余り出来なかったりもすると思うんだ。男って」

       

      香織「そうなんだ」

       

      隆行「だから、俺、香織の事は俊君にしか話はしていないし」

       

      香織「そっか」

       

      隆行「女の子はどうなの?」

       

      香織「私は一人っ子だからな〜」

       

      隆行「親はどう?」

       

      香織「お母さんには話をするかな」

       

      隆行「俺の事も!?」

       

      香織「うん。話はしているよ」

       

      隆行「そっか」

       

      香織「でも、お父さんに話は出来ないな〜」

       

      隆行「そうなんだ」

       

      香織「だって、お父さんに話をしても、反対されるだけだと思うもん」

       

      隆行「そんなに厳しいお父さんなの!?」

       

      香織「ウチのお父さんは、そんなに厳しいって感じじゃないけど」

       

      隆行「うん」

       

      香織「それでも、私に彼が出来たなんて話をしたら、大変だと思うな」

       

      隆行「そっか〜」

       

      香織「なんとなく分かるんだよね」

       

      隆行「やっぱり、男と女って違うんだね」

       

      香織「何で?」

       

      隆行「俺が家族に香織の事を話が出来ないのは、単に恥かしいからなんだよね」

       

      香織「そうなんだ」

       

      隆行「なんか、照れ臭くってさ。だから、俊君に相談に乗って貰っていたんだけど」

       

      香織「親に反対されたりとかって、ないの?」

       

      隆行「男はそういう話は余り聞かないな」

       

      香織「そうなんだ」

       

      隆行「っても、他のみんなも親には話をしていないだけなのかもしれない」

       

      そして二人は香織の家へ着く。

       

      香織「ちょっと待っていて、着替えてくるから」

       

      隆行「うん」

       

      香織は家の中へ入っていく。

       

      数分後、着替えを済ませた香織が家から出てくる。

       

      香織「お待たせ」

       

      再び、二人は歩き始めて、今度は隆行の家へと向かう。

       

      そして二人は話を続けて、今度は隆行の家へ着く。

       

      隆行「今度は俺が着替えてくるね」

       

      香織「うん」

       

      隆行は香織を家の前で待たせて、家の中へと入っていく。

       

      隆行「ただいま」

       

      そう言いながら、隆行は足早に家へとあがる。

       

      家の奥の方から母の返事が届く。

       

      絵美の母「おかえり」

       

      隆行がリビングの脇を通る際に、母に声をかける。

       

      隆行「俺、今日、夕飯はいらないから」

       

      絵美の母「何で?」

       

      隆行「友達と外で食べてくる」

       

      絵美の母「そう」

       

      隆行は急いで自室へと行き、着替えを済ませてから、すぐに家を出て行く。

       

      隆行「お待たせ」

       

      香織「バスで行くんでしょ!?」

       

      隆行「うん」

       

      二人は歩いてバス停へと向かう。

       

      バス停に着いた二人はおしゃべりをしながら、バスが来るのを待つ。

       

      数分後にバスはやってきた。

       

      そして二人は、そのバスに乗って駅前へと向かう。

       

      駅前に着いた二人はウィンドウショッピングをして時間を潰した後、 俊之に教えて貰ったイタリアンレストランで夕食を共にする。

       

      町はすでにクリスマスの準備万端であった。

       

      すでに辺りは暗くなっており、町中のイルミネーションが綺麗に光っている。